子犬時代の代表的トレーニングのひとつが「甘噛み」ですよね。我が家の2匹も、兄犬の方は甘噛みがひどくて、当時私の手は傷だらけで、周りから心配されるほどでした…笑
子犬の乳歯は永久歯よりも先が鋭利ゆえ、噛まれるととっても痛い!心も萎えますよね。
この記事では、子犬の甘噛みトレーニングに悩んでいる飼い主さんに何かヒントになればと、犬が甘噛みをする理由を、我が家の甘噛みトレーニングの体験談を交えてご紹介します。
目次
犬が甘噛みする理由
そもそも、犬はなぜ甘噛みするのでしょうか?
犬を2匹育てて、たくさん甘噛みされてきた(現在もたまにされる)私が考える子犬の甘噛みの理由は、一般的な本に書いてある甘噛みの理由よりも多いです。
子犬が甘噛みをする理由
・「これなんだろう?」と興味の対象を確認したい
・単に飼い主さんの指や手で遊んでいる
・乳歯から永久歯に生え変わる時に、歯茎がかゆい
・飼い主さん(ほかの犬も含む)に甘えたい・じゃれあいたい
・飼い主さんに嫌なことをされ、抵抗している
・飼い主さんと自分とどちらが上か確認している
しつけ本の中には、「僕の方が上なのかな?」と確認するために子犬は甘噛みするので、「飼い主の方が上だよ」と教えるために、甘噛みは最初から厳しくしつけましょうと書いてあることがあります。
ですが、私の経験上、いわゆる家庭犬・愛玩犬と言われる犬たちは、「自分の方が上だよ」と示すために飼い主さんを噛むというケースは、子犬はもちろん、成犬であっても少ないのでは?と思います。
また、上記のうちのいくつかが紹介されていて、だからこうしましょう!と具体策が書いてあることもありますが、結局どの理由で愛犬が噛んでくるのか分からないことも多いと思います。
中には、ざっくりと「子犬の甘噛みの理由はこう!対策はこう!」と1つの方法しか紹介されていないこともあります。
結局、愛犬が噛んでくる理由がわからず、対策もうまくいかないのは、成長過程で噛む理由が異なるという観点が抜けているから。(何より私がそうでした…)
子犬の成長過程はわずか1年で、1カ月で別の犬のように成長します。
そのため、ぼーっとしていると、甘噛みをする理由が変わっているのに気づかないなんてことが良くあります。
生後2~3か月の子犬
所説はあると思いますが、私の経験上、兄犬がこのころに噛んでいたのは
「これなんだろう?」の興味対象を確認するために、「とりあえず噛んで確かめている」
もしくは、「単に飼い主の指や手を噛んで遊んでいる」のどちらかだったと思います。
「甘えたくて、じゃれたくて噛んでいる」という場合も、あったのかもしれませんが、比率としては低かったと思います。
なぜなら、子犬から成犬(しかも2~3歳程度)までの間に、犬の精神性や知能、感受性はものすごく成長するからです。
今我が家の愛犬は2歳ですが、今の知能や感情のバラエティの豊かさや深さに比べると、生後2~3か月頃は、まだまだ「ただの赤ちゃん」という感じ笑。
「甘える」「じゃれる」という感情も多少はあると思いますが、どちらかと言えばもっと単純で「目の前になんかあるから噛んで遊んでいる」という感じがしっくりきます。
後で知りましたが、「目の前にあるものをただ噛んで遊ぶ」はとっても重要な行為で、「噛む」ことによって脳に刺激がいき発達する、「噛む」ことによって精神的に落ち着く、などの意味があるそうです。
生後6か月前後の子犬
乳歯から永久歯に生え変わる時期なので「歯がかゆくて噛む」に移行します。
犬の歯の抜け変わりを経験したことがある方なら皆さん心当たりがあると思いますが、犬の乳歯は、1カ月間くらいの間に、ボロボロ~っと抜けて、その後グングンと永久歯が生えてきます。ビックリするほどのスピードです笑
永久歯がグングンと成長しているのですから、歯茎や歯の中がムズムズとかゆく、何かを噛みたいという衝動に駆られて、その辺のものを手あたり次第に噛みはじめます。
また、ぐらぐらする乳歯を早く取りたい!という気持ちでガジガジ噛んでいることもあります。
我が家の兄犬くんは、ケージの網をひたすらガジガジ噛んでおり、かなりボロボロになりました。
何度かやめさせようとしたのですが、全くコントロール不可。結局、させるがままにしておきました笑。
今となってはもっと素敵なおもちゃを与えてあげればよかったなと思っています。
歯の抜け変わり時期おすすめのおもちゃ
・犬用の木の棒
・チキンフレーバーがする犬用のおもちゃ
・犬用ひっぱりあいロープ(硬いタイプ)
・タオルをただ結んで棒状にしたもの
・サランラップの芯
・空のペットボトル(ラベルははがす)
ただし、おもちゃを選ぶときの注意点があります。
硬すぎるものはNG
犬の歯は人間に比べてエナメル質がうすく、割れやすい傾向にあります。
鹿の骨や牛の蹄など、犬の嗜好性の高い噛む用のおもちゃが売っていますが、子犬や小型の成犬では「歯が欠けてしまった」という話をよく聞きます。
柔らかすぎるものはNG
硬すぎるものもNGですが、柔らかすぎるものも噛み応えがなくて、3秒でポイっとされます笑。
破壊しやすいものはNG
ロープや紐、またラテックス・ゴム製のおもちゃは、噛む力が強い子はあっという間に壊してしまいます。破片を飲み込んでしまう誤飲につながると、命の危険にさらされることになる場合も。
おもちゃを与えているときは、目を離さないようにするか、一定時間ごとに壊していないかチェックするのをおすすめします。
おもちゃの効果は、飼い主への甘噛みを防御(笑)するだけではありません。
特に奥歯など、乳歯が抜けずに残ってしまうと、永久歯が曲がって生えてきてしまい、歯に汚れがたまりやすい構造になってしまいます。
歯に汚れがたまり、歯石(黄色く硬く固まる)となって歯に付着したままにしておくと、ばい菌がたまり、
歯肉炎の原因になってしまいます。
毛細血管から体内にばい菌が入ると、心臓病等の内臓疾患の原因になるともいわれています。
おもちゃなどを使って、無理なく乳歯をきれいにぽろっと抜けさせてあげるのは実はとっても大切なのです。
生後7か月以降
永久歯に生え変わった後も噛んでくる場合は、「飼い主さんと遊んでほしくて噛む」か「嫌なことをされ、抵抗するために噛む」です。
「僕の方が上だよ!」を主張したくて噛んでくるのではないと個人的には深く感じています。(※あくまでも個人的な意見です)
我が家は、兄犬の噛み癖がとってもひどくて、生後9か月くらいまで、私の手や腕、脚は、傷だらけでした。
マッサージに行ったら、心療内科を紹介しますか?と言われたくらい、、笑
でも、逆に弟犬を迎えたときは、飼い主に対する甘噛みはゼロ。一切ありませんでした。
なぜだろう?と愛犬たちをよく観察していると、「おお!甘噛みしあって遊んでいる!」と発見。
兄犬が私を噛んできていたのは、「遊ぼうよ~」というお誘いだったのかとその時理解しました。
成犬になった今でも、兄弟でプロレスをして遊んでいるときに、技の一つとして「甘噛み」があります。
首根っこを噛んで「オラオラー」とか、後ろ足を噛んで「まてー!」とか。
※決してケンカしているわけではなく、あくまでも「遊び」です。
さらに、弟犬は、成犬になった今でも、人間が小さく丸くなると、飛び掛かり腕やら耳やら甘噛みしてきます。
まあまあ痛いですけど…笑
兄犬が生後6か月を過ぎても甘噛みしているシーンを振り返ると、たしかに私がちょっと目を離して遊んであげていなかったときが多かったと思います。「遊ぼうよー!」と誘ってくれていたのですね。
成犬になった後の甘噛みの理由
ちなみに、成犬が噛んでくる場合は、ほぼ「やめろ!」の意思表示です。
我が家の愛犬たちは、前足のブラッシングや爪切りがどうにも苦手で、やろうとすると噛んできます。
「やめろよ!」と抵抗しています。
・前足の爪切り
・気持ちよく寝ているのに、抱っこして移動させられようとしたとき
・犬用の洋服を着させられるとき
犬用の洋服が大嫌いなのは、飼い主としてはちょっと寂しいです笑
甘噛みをやめてもらうためには
子犬の乳歯は、さきっぽがトキントキンなので、成犬に噛まれるときよりも、弱い力であっても破壊力があります。そのため、人間の皮膚は少し噛まれただけでも、ひっかき傷のような跡がめちゃくちゃたくさんつきます。
ここからは、私が実践した甘噛みをやめてもらうための取り組みとその結果をご紹介します。
手を喉の奥まで入れる
ブリーダーさんから、子犬を引き渡されるときに教えてもらった方法は、「噛んだら手を喉の奥まで入れて、ちょっとオエっと苦しくさせる(=嫌な思い出を作る)」です。
これ、オエっとさせるのがかわいそうで速攻断念しました…。小型犬の子犬って、月齢にもよりますが、3kgくらいの超小さい生き物。
ちょっと噛んだくらいで(←この考え方がいけないといわれるトレーナーさんもおられますが)なぜ苦しい想いをさせなければいけないのでしょう…。
のちのち病院で聞いたら、当時お世話になっていた獣医さんは
「気管支が細い子もいるので、傷つけてしまう恐れもあります。また、首をグイっと上にしてしまう姿勢は首筋をいためますので、やめた方がいいですね」と言われました。
また、知り合いの飼い主さんで、これで手は噛まなくなったとおっしゃっていた飼い主さんは、
「ただ、自分の手を見ると逃げるようになったけどね」と言っていました。
愛犬を癒すはずの飼い主さんの手が怖いものになってしまうのは不幸です…。
あまりお勧めしません。
おもちゃを噛ませるように誘導する
一番オーソドックスな対応法がこれではないでしょうか?
噛んできたらすかさずおもちゃにすり替え、楽しく遊んであげます。
もちろん我が家でもトライしました。
で、見事に失敗。
おもちゃを持っている手をめがけて噛んでくるのです。うそでしょーって感じでした笑
軍手を2枚重ねておもちゃをもって遊ぶという技(?)も繰り広げましたが、軍手を噛んできますし、素手になった瞬間もっと噛んでくるので、あまり意味がありませんでした。
今振り返ってみると、この方法の成功のポイントは、
人間の手よりもおもちゃの方が面白い!とおもちゃに注目を寄せてもらえるように、おもちゃを動かしたり投げたりする
かなあと思います。
皆さん、おもちゃで遊ぶときは「ほらーほらほらー」とおもちゃを動かしたりすると思いますが、普通に動かすだけで興味をもってくれない子もいます。(我が家の兄犬君のように…)
そんなときは、おもちゃの動かし方を少し工夫してみてください。
・地面を這うようにおもちゃをスライドさせる(小さな獲物が動くようなイメージ)
・おもちゃを洋服の中や布団の中に隠して動かす(獲物が隠れているようなイメージ)
犬は、狩猟動物なので、動く小さなものを追いかけたくなる本能があります。
おもちゃ=獲物と見立てて、まるでネズミのようにおもちゃを動かすと、興味をもってくれる可能性が高くなります。(演技力の問題かもしれません)
噛んだら無視して部屋の外に出る
これも、しつけ本によく書いてある対策です。
「噛む」をしたら大好きな飼い主さんが遊んでくれなくなってしまうという「望ましくないこと」が起きると覚えてもらうためです。
もちろん我が家もトライ。
そしてすぐに断念笑!
詰まった理由は、「噛む」が多すぎて、部屋の外に移動してばっかりになるから笑。
部屋にもどってくる、遊びを再開、すぐに噛まれる、部屋の外に出る、待つ、また部屋に戻る、、
を永遠に繰り返し、私も愛犬もお互いに「あれ?なにやってるの?」になりました。笑
超個人的な意見ですが、この方法は、5回に1回くらい噛んでくる子には有効なんじゃないかなと思います。なぜなら、飼い主さんが部屋を出ていくときと、出ていかないときの差がはっきりわかるから。
我が家のように、100発100中噛んでくる子の場合は、飼い主がひたすら運動しているだけになります笑
噛んだら「ガシャン!」と大きな音を立てる
これは、犬歴40年近くの実家の母からの提案でした。
アルミ製の小さな蓋ができる缶(ウコンの力みたいな栄養ドリンクサイズ)の中に、釘などの金属を入れて、投げて落とすと「ガシャン!」と大きな音が鳴る小道具(笑)です。
我が家の兄犬くんに使ってみると、なんと!
最初の5回くらいは効果がありました!笑
最初の5回くらいは、「え?」ときょとんとして甘噛みはストップ。
でもそれ以降になると、「ガシャン」と音を立てるこのアルミ製の小道具がなんなのか気になり始めて、がぶがぶ噛んで確認。
あまり噛みごこちが良くなかったのか、あまり遊ばれることなくおもちゃ箱の底で眠ることになりました…笑。
この方法は、「噛む」→「ガシャン!」と大きな音が鳴り「嫌なことが起きる」と覚えてもらい、「噛む」を減らしてもらうというものです。
今あらためて振り返ってみると、この方法は「大きな音が怖いと思う子」には有効だと思います。
我が家の弟犬くんは、私が台所で洗い物をしているときに、お皿をがちゃん!とやってしまうと、
びくっとして逃げてしまいます。つまり大きながちゃんという音が苦手な子。
一方、甘噛みがひどかった我が家の兄犬くんは、がしゃん!と音がしても「ぽかーん」笑。
それより早くご飯ちょうだいよ、って顔しています。
それゆえ、効き目がうすかったのでしょう。
噛んだら「ウーっ」とうなる
結局、我が家の兄犬くんが、「あ、こいつ(飼い主)は、手噛まれるの嫌なんだな」と気づいて辞めてくれた方法がこれです。
生後9か月になり、甘噛みから早や半年以上はゆうに過ぎたころ…私のメンタルも結構やられておりました笑
脚も噛まれるので、夏でも室内でくつした+室内用の靴を履き、軍手をして遊ぶスタイルもそろそろ限界。
なにより、噛まれるのが痛くて痛くて。
で、ある日、いつものように兄犬くんが私の脚をがぶがぶやり始めたときに、ぷつーんと切れてしまいまして、
とっさに、大型犬がうなる時のまねをして、「ウー!!!!(低くて大きな声)」と怒りを表現したところ、これが通じたらしく、「きょとん」として少し考え、その後、全然噛まなくなりました。(感涙)
「え?え?通じた!」と私もうれしくて、涙。
ちょっと噛みそうになった時は、「ウー!」と言ってみると、すぐにやめてくれました。心置きなく素手でおもちゃで一緒に遊ぶようになれて心から嬉しかったです。
私の嬉しさが愛犬も伝わったようで、おもちゃで遊ぶのも、お散歩に行くのも、すごくリラックスしていけるように。まだ弟犬もいない頃だったので、1人1匹の時間を大満喫しました。
「ウーっ!」でなくても、「NO!」でもいいかもしれません。一般的なしつけの本には「NO!」や「ダメ!」などが例として取り上げられています。
が、ポイントはやはり、低い声できっぱり、ボリューム大きめにいうことかなと思います。
一度やってみてくださいね!
まとめ
子犬が甘噛みする理由と、我が家の甘噛みトレーニングのたくさんの失敗談と、ひとつの成功方法をご紹介しました。
一つ言えることは、子犬の甘噛みは、遅かれ早かれ絶対治ります。
よくしつけ本に「甘噛みを許したまま成犬になると、噛む子に育つから早めに直そう」みたいなことが書いてあり、私も真に受けて焦って色々やりましたが、本文でご紹介したように、子犬の甘噛みの理由と成犬の甘噛みの理由って、全然違うのです。
なので、焦らず、子犬の成長時期による甘噛み理由を理解したうえで、その時期のその子に合う方法を一つずつ試していってもらえればと思います。がんばってくださいね!